■動作環境

 Blender は次の OS で動作します。ハードウェアと最新の OS 対応はこちらを確認してください。

  • Windows 8.1以降
  • Mac OS 10.15 Intel、11.0 Apple Silicon
  • Linux(glibc 2.28以降)

ビデオカードについて

 基本的に NVIDIA の GeForce または Quadro GPU を搭載しているビデオカードをおすすめします。執筆時点では他の GPU でもある程度対応は進んでいるものの完全ではなく、新機能の実装も遅れる傾向にあるからです。

 ただし簡単なモデリング程度ならノート PC でも可能です。

 もし Cycles レンダーを利用するなら、各機能の最新の対応状況も確認してみてください。

■ダウンロード

 ダウンロードは公式サイトの Blender.org のダウンロードページから行います。

 ダウンロードページにアクセスすると、アクセスした OS に合わせた、最新リリースへのリンクが自動的に表示されますが、別の OS 用のバイナリや、古いバージョンのダウンロードも下のリストから利用可能です。

 また、マイクロソフトストアSteamLinux Snap Store からもインストールできます。

ダウンロードページ
ダウンロードページ

LTS 版について
Blender のリリースには通常版と「LTS(Long Term Support: 長期サポート)版」があります。
LTS は2年間、仕様や互換性を維持しつつ、修正のみを行う特別なバージョンです。
例えば、現在使用中のバージョンに不具合があるが、新バージョンでは仕様変更により、既存の多数のファイルやデータに更新が必要になる……そんな時は LTS 版を使用すれば、修正の恩恵のみ受けつつ、完成まで同じバージョンを使い続けることができます。

ポータブル版について

 ポータブル版とは、Blender の設定データを PC のユーザーデータに作らず、バイナリと同じ場所に置くバージョンのことです。例えば USB メモリなどにフォルダーごと入れておくことで、どこの PC でも同じ環境の Blender を持っていくことができます。

 ただし単に ZIP ファイルを展開するだけではポータブル版として動作しません。詳しくは次のインストールの項をお読みください。

■インストール

インストーラーによるインストール(Windows 版のみ)

 インストーラーを起動し、最初の画面を[Next]で移動すると、GPL に関する確認が出てきます。
 通常、Blender をアプリとして利用する人は GPL のことを気にする必要はないので、左下の「I accept the terms in the License Agreement」をクリックしてチェックし、そのまま[Next]をクリックで先に進みます。

GPLの確認
GPLの確認

 インストール場所を設定します。デフォルトでは下図のように「%ProgramFiles%\Blender Foundation\Blender(バージョン)\」(下図はBlender 3.6の例)になります。別の場所にインストールしたいなら[Browse...]をクリックして指定します。
 準備ができれば[Next]をクリックします。

インストール場所の設定
インストール場所の設定

 [Install]をクリックすると、インストールが始まります。途中ユーザーアカウント管理(UAC)のダイアログで確認を求められますが、それ以外は放置していてかまいません。

[Install]でインストール開始
[Install]でインストール開始
インストール中
インストール中

違うバージョンの同居

 上述の通り、Windows 版インストーラーでインストールした場合、デフォルトでは「C:\Program Files\Blender Foundation\Blender(バージョン番号)」に各バージョンの Blender がインストールされ、さらに設定ファイルも後述のように「%APPDATA%\Blender Foudation\(バージョン番号)」フォルダーに入るため、何も考えなくても複数のバージョンが共存できます。

ZIP ファイルによるインストール

 ZIP ファイルを好きな場所に展開します。なお、あまりパスが長くなる場所(フォルダー階層が深い場所など)に置くと、一部スクリプトが展開できなくなる可能性があります。
 ポータブルにする場合は次の項も見てください。

ユーザーデータの保存場所とポータブル版への変更

 「ユーザーデータ」の保存場所は、デフォルトでは、Windows の場合は「%APPDATA%\Blender Foudation\(バージョン番号)」フォルダー、その他 OS の場合は、「usr」ディレクトリ以下に入ります。

 しかし、例えば、デフォルト設定のみのチュートリアル専用の Blender 環境を作成したり、USB メモリで持ち運びしたい時は、ポータブル版として動作させることができます。

 ポータブル版として動作させるには、単に「Blender インストールフォルダー内の(バージョン番号)フォルダー」に「config」フォルダーを作成するだけです。

 これは別に ZIP 版でなくてもよく、インストーラーでインストールした Blender でも同様にインストール場所の(バージョン番号)フォルダー内に「config」フォルダーを見つけたら、そちらを設定に使用するようになります。

「config」フォルダー作成
「config」フォルダー作成

■起動と初期設定

 最初の起動時、下図のように中央に「スプラッシュスクリーン」が表示され、インターフェイスの簡単な設定を行うことができます。

初回起動時の画面
初回起動時の画面

もしスプラッシュが消えてしまった場合は、一番左上の Blender マークをクリックし、「スプラッシュ画面(Splash Screen)」を選択してください。

日本語化の設定

 スプラッシュの「Language」をクリックし、「Japanese (日本語)」を選択すれば、日本語化されます。下の[続ける]ボタンで先に進みますが、この時点で終了しても日本語化は設定されています。

Language選択後のスプラッシュ
Language 選択後のスプラッシュ

後で「プリファレンス」(後述)から設定することもできます。

以前の設定の読み込み

 以前のバージョンの Blender を使用した経験がある(上記のユーザーデータ保存場所に「4.0」フォルダーが残っているなどの)場合、[Blender (以前使用していたバージョン)の設定を読み込む][新しい設定を保存]ボタンが表示されます。

以前の設定を読み込むボタン
[以前の設定を読み込む]ボタンと[新しい設定を保存]ボタン

 前者をクリックすると、前バージョンの設定がそのままコピーされ、もし外部アドオンがあればそれもコピーされます。
 以前の設定は使用したくない場合は、[新しい設定を保存]ボタンをクリックすれば、今スプラッシュで行った設定をそのまま使用します。

■プリファレンスによる設定

 Blender の設定はインストール時以外にも「プリファレンス」からも行うことができます。

 プリファレンスは、編集メニュー→プリファレンス...からアクセス可能です。

プリファレンスへのアクセス
「編集メニュー→プリファレンス...」からアクセス可能
プリファレンスウィンドウ
「表示されたプリファレンスウィンドウ

GPU アクセラレーションの設定

 PC に NVIDIA や AMD、Intel の対応する GPU がある場合、Blender の「Cycles レンダー」などで GPU による高速処理が可能になります。

 GPU デバイスの設定は「システム」タブ→「Cycles レンダーデバイス」から行います。

Cycles GPUアクセラレーション設定
「システム」タブ(①)→「Cycles レンダーデバイス」(②)にて設定

 「Cycles レンダーデバイス」パネル内の上のタブから利用可能な API のタブをクリックし、使用する GPU 名をチェックします。もしその API が使用できない場合は「Cycles 用の互換性のある GPU がありません」と表示されます。

API(と GPU)によっては機能に制限があります

設定の保存

 通常、設定は Blender を終了すれば自動的に保存されます。
 昔のバージョンを使用、または明示的に保存したい場合は左下のハンバーガーボタンをクリックし、「プリファレンスを保存」をクリックします。
 自動保存(Blender 終了)前なら、「保存したプリファレンスに戻す」で設定を戻すこともできます。

プリファレンスの保存
左下のハンバーガーボタンから保存メニューにアクセス